平成14年度
市政研究セミナー
豊中市政研究所では、調査研究の成果をもとに議論を深める場を持つため、市政研究セミナーを開催しました。
当日は、研究員による昨年度の調査研究に関する報告のほか、調査研究の過程でアドバイスを受けた研究者の方にも解説・助言をお願いしました。
市民公益活動を促進する条例の類型比較
−新しいコミュニティづくりのために−
2002年9月24日(火)午後6時30分〜 くらしかん 3階イベントホールにて
報告者:太原 敏 豊中市総務部法制文書課 (平成11〜13年度 市政研究所在籍)
助言者:中川幾郎さん 帝塚山大学法政策学部教授今回は、市民活動課の市民公益活動推進指針づくり研究会とのジョイントでセミナーを行いました。
条例の類型比較の報告ではまず、NPO法人認証数の急激な伸びをグラフで確認、社会・経済環境、価値観等の変化により、「新しい公共の担い手」「新たな 経済主体」として市民公益活動が注目されていること、市民公益活動を推進することが、地域コミュニティが支える豊かな地域社会づくりにつながる点を述べま した。
条例の比較では、箕面市、横須賀市、池田市、藤沢市など7市の条例を取り上げ、条例検討までの関連提言・報告の有無や条例内容の特徴などさまざまな観点か ら比較検討しました。まとめとして、各市ともおおむね情報公開・市民参加を備えた条例策定がなされており、後発の横須賀市、平塚市などはたんなる市民参加 促進にとどまらず市民協働のまちづくりを推進するため行政内部の事業のあり方、職員の意識改革を盛り込んだ内容になってきていること、行政(公共)サービ スへの参入規定については、箕面市を始め5市の条例で規定されており、しなやかな行政サービスによる公益の増進、活動団体の財政的支援、行政コスト削減に つながる点を述べました。
今後の課題としては
@財政支援のあり方・しくみ、評価のしくみ
A対等性確保のしくみ
B従来の部局別コミュニティ政策の抜本的・総合的な見直し
C地域分権 をあげました。後半は中川幾郎帝塚山大学教授に「NPO政策の展望と課題」というテーマで、地方自治の方向性、NPO政策とコミュニティ政策とのかかわりなどについていくつかの事例を交えながら話していただきました。
休憩をはさんだあとの質疑応答では、「NPO」と「ボランティア」の違いについて、財政支援のあり方やしくみ、評価のしくみの具体的内容について、「市民自治」と「議会制民主主義」との整合性についてなど多数質問があり、活発な質疑応答になりました。最後にアンケートでは、報告について「話がやや抽象的であったので、より具体性のある例示等を加えて説明していただきかった」「言葉がわかりにくかった」 「中川教授のコミュニティ論は参考になりました。『地域協議会』方式は実現に向けた検討が必要であると感じました」「個人レベルの活動への意思をどうやっ て現実の活動につなげていくかが課題」などの感想、意見をいただき、「市政研究所にはもっと市民の方へ近い話し合いができる場を作ってほしい」と市政研究 所のあり方への意見もありました。
主催:豊中市政研究所・豊中市職員研修所