平成9(1997)年度報告 ■テーマ
広域行政制度改革について
昨年度の共同研究を契機に「広域連携」について考えてみました。地方分権の受け皿論、行財政改革などを背景に、活発に議論を呼んでいるテーマです。制度論的には『広域行政』として、いくつかの仕組みが確立しています。と言っても、現在地方分権と地方制度改革という動きの中で制度充実の方向での議論がなされているのですが…。
『広域連携』という場合にはもう少し広い概念で捉えているようで、「農業生産・流通」「生活環境(福祉・医療)整備」「環境保全対策」「交流(自然・文化)事業」などの分野で、@近隣市町村が提携 A遠隔の市町村と連携 B大都市との連携という類型で、4つのメリット(スケール、スコープ、ネットワーク、コンセプト)を目標にしていると整理しました。結論的には、「『事実上の協議会』方式を中心に、アドホックに、全方位的に、市民をはじめとする多様なアクターとの関係づくりに留意しながら進めることが望ましい」という常識的なものに止まってしまったのですが、積み残された問題として、以下の諸点を問題意識として継続していきたいと考えています。
- 基本的な視点としては、公的サービスと行政のユーザーである市民のコントロールがより強化される方向で、「広域の行政」と「狭域の行政」を並立的に考えることが重要。
- ワンセット完結主義型自治体運営方式の限界は明らかになっている。
- 広域行政制度改革は、約3,200の基礎自治体全体を画一的に縛るような方向では進めないだろう。また、その改革には、原点に溯る歴史的事実を踏まえた、地方制度全体のデザイン設計が必要。
- 豊中市にとっての広域連携は、大阪市との関係を省いては、空疎なものとなる。 (室木)