平成17(2006)年度 基幹研究報告

■テーマ

豊中市の地域コミュニティづくりに向けて

−地域コミュニティ構築プロジェクト最終報告書−



1.研究の背景
 人間関係と自治意識の希薄化による地域の安心・安全の崩壊が全国的に懸念されている。いわゆるコミュニティの衰退である。人々の無関心による事件や事故が絶えない一方で、全国の事例に学び日々精力的に地域づくりに取り組む活動家も増えてきた。行財政の行き詰まりから地域との協働や地域自治を推進したい行政側の思いも相まって、どうすればその動きを支援できるのか、地域と行政の関係、言い換えれば新しい公共のあり方の模索が真剣に進められている。
 豊中市政研究所ではその答えを求めるべく、2004年度に「地域コミュニティ構築」研究プロジェクトを立ち上げた。2年半の調査・研究を通じて、地域住民と行政職員の双方から生の声を聴き、理想的な枠組みはいかにあるべきかを検討してきた。

2.研究の概要
 本年度上半期、行政の現在の動きの共有と提言の将来的な施策化を視野に入れて関連部局の協力のもとで立ち上げた「地域コミュニティ研究会」と、地域で活躍する活動家とともにコミュニティの課題やこれからのコミュニティのあり方について考える「地域づくりとよなか市民フォーラム」を開催し、議論を進めてきた。  本報告書はこれまでの調査・研究、「地域コミュニティ研究会」・「地域づくりとよなか市民フォーラム」での議論、および先進事例視察を通して得た知見をもとに、これからの豊中市のコミュニティづくりに向けてその検討課題と提案をまとめたものである。

<研究会と市民フォーラムで検討したテーマ>
テーマ1「コミュニティの今」
 現在のコミュニティの課題や市民のコミュニティ意識(範囲等)を議論。
テーマ2「コミュニティ組織のあり方と再編の手法」
 地縁団体の現状と課題やそれらの組織の一本化(再編)の可能性、その手法等について議論。
テーマ3「コミュニティ活動拠点のあり方」
 地域活動の拠点となる施設の現状と課題、ならびに求められる施設のあり方について議論。
テーマ4「コミュニティとお金」
 現在の補助金制度のあり方を概観し、今後の地域活性化のために必要となる包括補助金制度のあり方や地域の裁量権などについて議論。また、活動助成金や地域役員の報酬の是非について議論。
テーマ5「行政の支援体制のあり方」
 コミュニティの担当窓口の設置や、地域担当職員の配置、その他行政に求める支援メニューについて議論。

3.研究を終えるにあたって
 本報告書をもって2年半の調査・研究の総括としたい。コミュニティは奥が深く、まだまだ当初の問題意識への答えが見出せていない部分も多い。しかし、少なくとも今のコミュニティを取り巻く課題や論点は示せたのではないかと考えている。豊中市においてもコミュニティづくりの推進が市長公約に掲げられ、これから本格的にその議論が進められようとしている。本報告書でまとめた論点や提言が、今後の豊中市のコミュニティ政策に生かされることを期待したい。

(白岩)


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