平成17(2006)年度 基幹研究報告 ■テーマ
市民感覚に基づく都市情報データベースの構築に向けた提言
1.研究の背景
「まちの主人公は市民である」「協働とパートナーシップに基づくまちづくり」・・・。いずれも第3次豊中市総合計画に掲げられている言葉である。市民をまちづくりの担い手として期待するだけでなく、パートナーとしてまちづくりを進めるのであれば、市民や行政、NPOなどまちづくりの主体間の情報の共有に基づく認識の共有が必須であり前提でもある。様々な情報が日々生み出され流れていくという情報氾濫社会の中で、豊中というまちの現状に対する共通認識を形成し、まちづくりを進めるために活用できる情報の整理、統合化が求められている。
実際には、活用しうる情報を行政は数多く保有しているが、課題として、@情報が体系立てて整理されていないこと、A情報が市民の意識と関係付けられていないことが挙げられる。その結果、情報が十分に活用できる状態にはなっていない。行政や市民が持つ膨大な情報を収集し、市民の意識、市民の感覚に対応する形で整理、場合によっては分析し、活用可能な状態で収納、更新していく仕組みとしての「豊中都市情報データベース」の構築が求められている。
2.これまでの研究概要
本研究は、平成15年度から3年間にわたって行った研究、「地方自治体における協働型政策評価の可能性と課題」から得られた豊中市の課題について、掘り下げるものである。過年度の研究では、協働で政策・施策評価を行おうとするとよなか未来会議の取り組みを題材に、様々な視点で研究を行ってきた。その中で、いずれの研究においても課題になっていたのが、「豊中市の現状を示す様々な情報が散在している」「豊中市の現状を知ることができる情報データベースが必要である」ということである。
3.研究の目的
過年度の研究では、主にとよなか未来会議の取り組みを題材にして、都市情報データベースの必要性を示した。しかし、都市情報データベースは、目的や役割に応じて様々なタイプが考えられる。
本研究では、豊中市というまちの現状を示す「豊中都市情報データベース」について、以下の2点、すなわち枠組みと更新の仕組みについて提言することを目的とする。
(1)豊中市に関する既存の情報を体系立てた豊中都市情報データベースの枠組み
(2)市民の意識や市民の感覚、具体的に豊中市における「市民の声」や「市民意識調査」をもとに、豊中市の現状を示す情報を追加、更新する仕組み
4.まとめ
豊中のまちの現状を知るための都市情報データベースの構築にあたっては、すでに体系化され、多くの都市情報が関連付けられている豊中市総合計画を基準にすることを提案した。まず、行政が保有する都市情報を、総合計画を軸に整理し、次に、データベースの更新段階で、市民の意識や市民感覚を基にした都市情報を付加していくことを提案した。
(伊丹)