平成16(2005)年度 基幹研究報告 ■テーマ
「地方自治体における協働型政策評価の可能性と課題 3」
〜市民の生活感覚の把握からまちの診断(指標の作成、指標の活用)へ〜
1.研究の目的本研究は、協働による政策評価の可能性と課題を示し、その解決に向けた提案を行うものである。研究方法は、豊中市における協働型政策評価の実践主体「とよなか未来会議」の動きに沿って研究テーマを設定し、およそ1年単位で研究を進めてきた。
1年次の研究では、一般的な政策評価における課題を既往の研究から抽出し、市民による政策評価指標の作成過程について、提案を行った。また、「とよなか未来会議」のメンバーとして参加した経験から、円卓会議への情報提供が、その後の議論に大きく影響することに着目した。そこで2年次の研究では、円卓会議での議論を活性化し、より科学的に議論を進めるための情報提供のあり方について提案を行った。3年次となる今年度の研究では、研究テーマを限定せずに、協働型政策評価の流れに沿って、さまざまな課題に対する解決策を提示した。
例えば、まちづくり指標は、複雑な構造を持つ社会を評価するものである。学術の世界では、複雑な要因が絡まりあう現象に対して、その現象を記号や指標などに置き換える研究が数多くされている。それらの研究を豊中におけるまちづくり指標の設定に活かすよう、指標のチェックリストを作成した。
また、指標により、豊中市の現状を把握した後、何を変えれば市民の満足度は変わるのか、効果的なのかが解明されていない。市民意識の構造を知ることができれば、施策の選択と集中を判断する一つの材料となり、効果的な、効率的な施策検討が可能となるのではないだろうか。
2.研究の流れ
■研究報告書 目次
第1章 序章
1.研究の背景
2.これまでの研究
3.今年度(平成17年度)の研究の目的と意義
4.研究の流れと報告書の構成
第2章 とよなか未来会議の概要と活動経過
1.とよなか未来会議の概要
1−1 とよなか未来会議とは
1−2 とよなか未来会議の発足まで
2.とよなか未来会議の平成17年度の活動概要
2−1 メンバー構成
2−2 組織体制
2−3 活動内容および活動結果概要
3.とよなか未来会議の運営への提案
3−1 運営上の課題
3−2 多様な「市民討議の場」
3−3 「市民討議の場」の実践事例
3−4 とよなか未来会議の運営への活用
第3章 市民の意識、生活的知識の収集と整理
1.市民の意識、生活知識の収集
1−1 現在の収集方法
1−2 市民の意識や生活的知識の価値
1−2 市民の意識などの収集における課題
2.市民の意識、生活知識の体系的な整理
2−1 市民の意識、生活的知識の蓄積と活用の重要性
2−2 市民の意識や生活的知識の整理と蓄積方法
3.まとめ
第4章 まちづくり指標の作成に向けた専門的知識の活用
1.社会の構成要素とは
2.評価指標に関する既往の研究
2−1 既往の研究成果の活用
2−2 まちづくり指標作成の参考研究
3.専門知識の活用についてひとこと
第5章 まちづくり指標の活用から指標の更新へ
1.市民満足度の構造分析に向けて
1−1 市民満足度に関する現在の課題
1−2 共分散構造分析について
1−3 共分散構造分析手法の適用の可能性
2.まちづくり指標の活用に向けた一策
2−1 多様な「市民」の位置づけ
2−2 まちづくり指標を活用した、一般市民への情報提供
2−3 まちづくり指標を活用した「まちづくり白書」ホームページの作成案
第6章 まとめ(伊丹)