研究報告報告
平成12年度(2000)年度の研究活動を終えて

■テーマ

廃棄物に関する意識・行動調査(1)

−ライフスタイルの視点から−



1.問題意識と研究の目的
 ごみの分別やリサイクル行動においては、近所づきあいや自治会等の監視・規制力が大きな役割を果たすことが指摘されている。一方で、地縁・血縁によって結びついた伝統的なコミュニティが弱体化していると言われている。
 豊中市の自治会組織率は58.6%にとどまっている(平成12年4月時点、市民生活課把握分)。『豊中市における地域コミュニティに関する基礎調査』(平成11年、豊中市政研究所)でも、自治会に対する市民の関心はやや薄くなりつつある一方で、ボランタリーな市民組織に対する参加意識の高まりが見受けられることが分かった。
 このような状況下の豊中市において、これらのつながりを持つ人はごみについてどのように感じ、行動しているのだろうか。
平成12年度は、この問題意識に基づいたアンケート調査を行い、今後の廃棄物行政において分別・リサイクルのみならず発生抑制をも促進するための施策や方法の方向性を考える基礎資料とすることにした。

2.調査研究の体制と方法
 野波寛氏(関西学院大学社会学部講師)、福岡雅子氏(樺n域計画建築研究所)の指導・助言と豊中市環境事業部の協力を得、「環境配慮行動の規定因モデル」(註)を参考に立てた下図の仮定に基づくアンケート調査を行った。

3.調査結果の概要
 ここでは地縁的つながりとしての自治会と、自発的つながりとしてのサークル活動をとりあげ、それぞれに関わる人たちの意識・行動を紹介する。
@ 自治会
 自治会の監視・規制力から生じる規範意識が作用するという仮定に反し、未加入者の方が加入者より自分の出したごみに対する近所の目を気にする傾向にある。加入者は分別の手間を厭わず、有料化・ごみ袋への記名に肯定的で、具体的な設問に高い意識をもつ傾向がある。行動面では、加入者の方が未加入者より実行度が高いとは言えない。再生品の購入、ペットボトルの分別排出の実行度は加入者の方が高いが、詰替え式商品の購入は未加入者の方が高い。

A サークル・ボランティア活動
 概して参加者は未参加者より高い意識を持ち、有料化、ごみ袋への記名に肯定的である。行動面でも参加者の方が未参加者より実行度が高い。

4.まとめと今後の課題
 平成12年度の調査は、地域におけるつながりと、そのつながりを持つ人がごみについてどのように感じ、行動しているかの把握にとどまった。 予想に反し、近隣とのつながりがもたらす規範意識の影響は小さかった。一方、サークル・ボランティア活動等の参加者は高い意識を持ち、熱心に行動していることが分かった。 今後因子分析等析を進め、意識と行動の関連を掴みたい。また、ヒアリング調査等を行い、それぞれのつながりが持つ可能性や、つながりのない人に対する働きかけ方について探る必要がある。                   

              (村上)